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小学2年生、景品をもらう理由は……

2020年01月26日

「このすみっコぐらしの時計もらう」


 


小学2年生の男の子が、念願の500ポイントの景品をもたうことに決めました。
1回の授業で5ポイント。週2回通塾で10ポイント。ざっと50週間、1年分のポイントを、この1月に使います。


 


「あと何回来たらいい?」
1年前はそう聞いてきていたのが
「あと10回だよ!」「あと3回だよ!」
と、カウントダウンしつつ、500ポイント達成しました。


 


「すみっコぐらし、かわいいな。好きなん?」
何気なく聞いた私に、彼は返事します。


 


「うん。妹、好きやで」


 


1年分のポイントは、妹のためにつかうそうです。小学2年生にとっての1年は、とても長いはずです。そのポイントを、全部使ってしまうと言います。


 


"beyond description"
こういうとき、このフレーズがいつも頭に出てきます。
「素晴らしい」「感動した」では空々しすぎ、他の言葉では不十分な感じがします。言葉がおいつかない、そういう気持ちになります。


 


思います。
誰かのために、という気持ちは、強いものだなと。


 


その発言は、だれのためのものか。
その行動は、だれのためのものか。


 


自分を喜ばせようとすると、自分だけが喜べばいいので1人分のエネルギーですみます。
誰かを喜ばせて、そのことを自分の喜びすれば、2人分。
友人に、仲間に、組織に、社会に、目を向けるものが大きければ大きいほど、たくさんのエネルギーが必要です。けれど、たくさんのエネルギーが返ってきます。



「我がが、我がが」という発言や行動を繰り返せば、人は離れていくでしょう。
「誰かのために」と喜ばせたい人が増えるほど、知識や知恵が必要となる。それを、知性と呼ぶのだと思うのです。
「誰かのために」と思っての発言や行動には、仲間が生まれます。仲間との相乗効果を生むにも知性が必要です。


 


そして、他者の喜びを自分の喜びとできる人は、喜ばせた人の数だけ、自分の喜びが大きくなります。


 


私は、子どもたちがやる気になる瞬間をたくさん見てきました。
「がんばったね」「すごいね」という賞賛の言葉よりも、そうやって保護者の方が自分の成長を喜んでくれるということそのものが、モチベーションになっていることはたくさんあります。


 


一緒に喜んでくれる人がいる。
そのことが、何よりも力になるものです。


 


早く景品を渡してあげたいな、と思います。
妹の喜ぶ顔を想像して、嬉しそうに景品を持ち帰る彼の姿が、今から見えるようです。